人にとって「働く」ことは、所得を得ることだけではなく、社会のなかで役割と居場所を得ることであり、自分自身の成長や生き甲斐、さらには夢や希望です。
人や地域の役に立つ仕事をして、「ありがとう」と声をかけられる。そのことがあれば、人は社会のなかで生きる希望を持ち、充実した毎日を過ごすことができるのではないでしょうか。
そのことを考えると、人にとって「働く」ことは、「生きること」や「幸せ」に直結することであり、必要不可欠なことであります。
しかしながら、「働く」ことを取り巻く社会情勢は、一段と厳しさを増しています。グローバル経済の進展のなかで、企業は拠点を海外に移転し、雇用の数が減少をしています。
また、日本の人口も少子高齢化、人口減少の進展で長期的にも消費が減少し、長引くデフレ等厳しい経済情勢から、企業は雇用を増やすことができず、非正規労働者も増加しています。さらに、ここ数年は廃業率が開業率を大きく上回り企業数も減少傾向にあります。
このような状況のなか、障害のある人たちの「働く」ことを取り巻く環境も厳しく、障害者雇用施策の進展により、少しずつ企業で働く障害のある人達は増えてはきたものの、多くの障害のある人は企業で働くことを希望しながらも実現できずにいます。
また、約40年前、「働く」ことを通じて社会と繋がり、「働く」ことを保障してきた障害者就労支援事業所(以下、「作業所等」という。)は、大きな役割を果たし続けているものの、作業所等で働く障害のある人の平均就労収入は月額約16,000円であり、障害のある人の所得の向上と言う希望には未だ応えきれていないのが実状です。
障害のある人達たちを含め、誰もが働くことで経済的に自立をしながら、生き甲斐や夢を持ち、しあわせを感じることができる元気な社会を創造していかなければならず、そのためには今までの福祉施策としての「就労支援」だけではなく、雇用施策や経済産業政策も含めた横断的な事業展開のもと、地域の活性化の視点を持ち、障害のある人の「雇用を創り」、「雇用に繋げる」ことを目的とした福祉と労働を一体的に取り組む法人が必要であると考えています。
折しも、サービス等利用計画の策定開始や障害者総合支援法、ハローワーク特区、障害者雇用率の引き上げ等障害者福祉施策・雇用施策も大きな転換期を迎えています。
私たちは社会情勢の変化も見据えながら福祉と労働の融合した新しい特定非営利活動法人を設立することにより、関係機関・団体との有機的な結びつきを通して、作業所等の工賃向上、雇用の創造、就労支援に取り組むことにより、働くことでしあわせを実感できる社会の創造に寄与していきたいと考えています。